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* Al-Batran et al., 2016 American Society of Clinical Oncology

免疫科学領域

ASP0113は、造血細胞移植患者におけるサイトメガロ ウイルス(CMV)感染抑制の治療を目的として開発中の DNAワクチンです。現在、造血細胞移植患者を対象とした 第Ⅲ相試験を実施しています。

造血細胞移植後のCMV感染やCMVの再活性化は、造 血細胞移植後によく見られる日和見感染症であり、重症化 した場合には死に至ることがあります。感染管理強化の観 点からも、安全性に懸念がない予防ワクチンが待ち望まれ ています。

ASP0113は、CMV由来の抗原タンパクを体内で発現 させ、細胞性・体液性免疫応答を誘導させることにより、

CMV由来抗原タンパクに対する免疫を構築させます。造 血細胞移植後のCMV感染症およびそれに伴う合併症を 抑制することが期待されています。

国で第Ⅰ相試験を実施中であり、米国食品医薬品局(FDA)

より「ファストトラック指定」を取得しています。ピーナッツ アレルギーは、微量の摂取でも生命を脅かすアナフィラキ シーを引き起こす可能性がある食物アレルギーの一つで す。現在承認されている治療法や予防方法はありません。

ASP4070は日本において、スギ花粉症を対象疾患とし て開発を進めており、2017年に日本で第Ⅱ相試験を開始 しました。スギ花粉症は日本人の約4人に1人が罹患して いると言われています。現在の主な治療は対症療法で、

ASP4070は、短期間の投与で長期的な症状寛解を可能と する根本治療となることが期待されています。

ペフィシチニブは、関節リウマチを対象として開発中の JAK阻害剤です。現在第Ⅲ相試験を日本で実施中であり、

2018年3月期中に試験結果が得られる見通しです。関節 リウマチは免疫異常に起因する慢性の炎症性自己免疫疾 患であり、現在の主な治療薬はTNF-α製剤をはじめとする 生物学的製剤です。

他の免疫抑制剤と作用機序が異なるペフィシチニブは、

安全性と利便性の双方を備えた新たな治療薬となること が期待されています。

LAMP-vax技術は、DNAワクチンの治療効果を高め、プ ラスミドDNAにコードされるアレルゲンの種類を変えるこ とにより、幅広いアレルギー疾患の治療または予防を目的 とした製品を生み出す創薬プラットフォーム(基盤技術)と して期待されています。現在、LAMP-vax技術を用いた複

数の開発候補品が非臨床・臨床段階にあります。

ASP0892はピーナッツアレルギーを対象疾患として米

免疫領域においてアステラスは、抗原特異的な免疫制 御を可能とする革新的な創薬プラットフォームを開発し、ア レルギーや自己免疫疾患、感染症に対する安全性の高い 根本的な治療の研究に取り組んでいます。抗原が同定さ れている自己免疫疾患に関しては、カンヨス社との共同研 究で、赤血球を用いた抗原特異的な免疫寛容が誘導でき るユニークな技術を活用した研究に着手しています。自 己、非自己に限らず、特定の抗原に対する免疫系の過剰反 応により特定の臓器が障害を受ける疾患に関しては、抗原 特異的に過剰反応するT細胞を除去して免疫寛容を誘導 する、ユニークな赤血球標的技術を用いた研究開発を進 めています。

ASP0113

ペフィシチニブ

LAMP-vax技術を用いたDNAワクチン

研究における取り組み

LAMP-vax技術を用いた創薬プラットフォーム 食物アレルギー

第Ⅰ相試験 ASP0892

ピーナッツアレルギー

季節性花粉アレルギー 第Ⅱ相試験 ASP4070 スギ花粉症

通年性環境アレルギー 非臨床段階

例:ハウスダスト(ダニ)、ネコ等

AIRM(オカタ セラピューティクス社買収後に社名変更)

は、細胞医療の研究開発における世界最高水準の技術・ノ ウハウを保有し、細胞医療の研究開発におけるリーディン グポジションにあります。AIRMは、先進的な細胞医療のア プローチで先端創薬を実現し、アンメットメディカルニーズ の高い眼科疾患治療に貢献することを目指しています。

現在、視細胞の生存および機能維持に必須の細胞であ る網膜色素上皮細胞(RPE cell)について、萎縮型加齢黄 斑変性およびStargardt病を対象とした開発を進めていま す。現在、いずれも第Ⅱ相試験段階にあります。

筋 疾 患 領 域 で は 、速 筋トロ ポ ニ ン 活 性 化 剤 C K -2127107が臨床段階に入っています。骨格筋の減弱に関 連する脊髄性筋委縮症・筋委縮性側索硬化症・慢性閉塞性 肺疾患の3つの疾患を対象に、現在、第Ⅱ相試験を進めて います。このうち最も試験が進んでいる脊髄性筋委縮症 は、筋肉の減弱が進むと呼吸不全や運動障害を引き起こ す重篤な疾患で、新たな治療選択肢を提供できるよう取り 組んでいます。

また、マイトブリッジ社との共同研究で得られた開発候 補品であるMTB-1(ミトコンドリア遺伝子発現調整薬)に ついては、神経筋疾患専門学会のアドバイザリーコミッ ティーを実施するなど、早期臨床入りに向けた準備を着実 に進めています。

アステラス インスティチュート フォー リジェネレイティブ メディシン (AIRM)

筋疾患

新領域・その他の領域

fezolinetantがVMS治療に対するファーストインク ラスの非ホルモン治療となることを期待しています。

アステラスは、これまでOAB領域をはじめ、生活の 質を改善する新たな治療薬を数多く開発してきた強 みをもっており、更年期に伴うVMSを有する患者さん に新たな治療選択肢を提供できるよう、開発を進めて います。さらに、中高年の女性が対象になるという点 で、更年期に伴うVMSとOABは共通しており、これま で培ってきたOAB領域での強みとのシナジーが期待 できます。

アステラスはオジェダ社の買収により、更年期に伴 う血管運動神経症状(VMS:ホットフラッシュと夜間の 発汗)を対象として開発中の選択的NK3拮抗薬であ るfezolinetantを獲得しました。現在、後期第Ⅱ相試験 を進めています。

更年期に伴うVMSは、閉経後の女性の80%*近くに 認められることが報告されています。既存のホルモン 補充療法には安全性への懸念が指摘されているた め、安全で効果の高い非ホルモン治療が新たな治療 選択肢として求められています。fezolinetantは、前 期第Ⅱ相試験でホットフラッシュの頻度・程度の改善に おいて良好な結果が得られており、アステラスは、

既存のホルモン補充療法に代わる 新たな治療選択肢になることを期待

TOPIC fezolinetant

* UpToDate – Clinical manifestations and diagnosis of menopause (Literature review current through: June 2017)

研究開発における1年間のトピックス

臨床開発における主な進展(承認・申請)

日本 欧州 米国

2017

4 5 6 7

8 9

10 11 12 1 2 3

TERRAIN試験データの添付文書への追加について承認を取得し、添付文書を改訂 前立腺がん治療剤XTANDI

双極性障害におけるうつ症状の改善の効能・効果で承認申請 クエチアピンフマル酸塩(徐放錠)

*エンザルタミドとビカルタミドとの直接比較試験

便秘型過敏性腸症候群の効能・効果で承認を取得(2017年3月発売)

便秘型過敏性腸症候群治療剤リンゼス

アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が骨折の危険性の高い骨粗鬆症を効能・効果 として承認申請

ヒト抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤ロモソズマブ

TERRAIN試験データの添付文書への追加について承認を取得し、添付文書を改訂 前立腺がん治療剤XTANDI

慢性腎臓病患者における高リン血症の改善の効能・効果で承認を取得(2016年12月発売)

高リン血症治療剤キックリン顆粒

錠剤の承認申請

前立腺がん治療剤イクスタンジ

レニンアンジオテンシン系阻害薬・カルシウム拮抗薬・少量利尿薬の3成分を含有した配合剤 として承認を取得(2016年11月発売)

高血圧治療剤ミカトリオ配合錠

2016

*保険診療における本剤の使用については、厚生労働省保険局医療課長通知(保医発1226 第8号 平成28年12月26日)により、留意 事項が付されています。

新たな機会の獲得など

その他

がん領域

その他の領域

免疫科学領域 がん領域の抗体医薬

新規の肺炎球菌ワクチン

慢性鼓膜穿孔の治療

オジェダ社の買収

細胞培養インフルエンザワクチンの 共同事業契約の解約

骨格筋活性化剤に関する提携範囲の拡大

2016年12月、ガニメド ファーマシューティカルズ社を 買収し、連結子会社としました。同社は、胃食道接合部腺が んを対象として開発を進めているIMAB362をはじめ、が ん領域において非臨床・臨床段階にある複数の開発品を 有しています。後期開発段階の抗体プログラムの獲得によ り、当社のがん領域フランチャイズのさらなる強化を図り ます。

肺炎球菌起因疾患を対象としたアフィニバックス社のワ クチンについて、全世界における開発・商業化に関する独 占的ライセンス契約を2017年2月に同社と締結しました。

この肺炎球菌ワクチンは、同社の多重抗原提示システム技 術(MAPS技術)を利用して創製されています。

2016年7月、サイトキネティックス社との骨格筋活性化 剤に関する提携契約を改定し、提携範囲に筋萎縮性側索 硬化症(ALS)を加えました。今後、ALSも対象に速筋トロポ ニン活性化剤CK-2127107の開発を行います。また、同 社の開発する骨格筋活性化剤tirasemtivの開発および商 業化に関するオプション権を取得しました。さらに、次世代 骨格筋活性化剤の創出を目的とした共同研究提携を 2017年まで延長しました。

細胞培養インフルエンザワクチンプログラムASP7374 およびASP7373の日本での共同開発・独占的販売に関 し、株式会社UMNファーマと2010年9月に締結した共同 事業契約について、2017年3月に解約し、同契約に基づい てアステラスに付与されたすべての権利を同社に返還し ました。

オーレイション バイオテック社が創製し、慢性鼓膜穿孔 の耳内局所投与薬として開発中のAU-935について、

2017年1月に同社と全世界における開発・商業化に関す る独占的ライセンス契約を締結しました。

2017年3月にオジェダ社の買収に関する契約を締結し ました。2017年5月に買収を完了し、連結子会社としてい ます。同社は、更年期障害に伴う血管運動神経症状を対象 として開発を進めているfezolinetantをはじめ、非臨床・臨 床段階にGタンパク質共役受容体に関する複数の開発品 を有しています。同社の買収により、アステラスはパイプラ インを拡充し、中長期の成長をより盤石なものとしていき ます。

筋疾患領域

関連 研究・臨床開発 P

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関連 研究・臨床開発 P

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関連 研究・臨床開発 P

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ドキュメント内 アステラス製薬 | アニュアルレポート2017 (ページ 55-67)

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